#20 New Friend ?
まさかカナダにきてダフ屋をやるなんて全然考えてなかった。だって僕はちゃんとした仕事をすることを許されるワーキングホリデー・ビザを持ってたんだもん。今まで何人もの人がこのビザをとってカナダに行ったと思うけど、ダフ屋を職としてやっていたのは多分僕くらいだろうね。
さて、この時期僕はカナダ人の新たな友達ができました。その名はトム、職業チケットブローカー・・・。そう簡単に言えばダフ屋だな。彼は僕がチケットを売ろうとして「2枚で40ドルな」といったダフ屋ですね。これが僕と彼との出会い。で、僕はこんな価格では売れんとつっぱって自分でチケットを売ったわけだけど、彼はいつ戻ってきて自分に売るかとずっと見ていたようです(数日間)。でも、彼の予想に反して僕はチケットを売りきった。その時彼は拍手をしながら僕のところに寄ってきて「Hey, Tough boy ! ○▲※□★(聞きとれんかった)」と祝福の言葉をかけてくれたんだよね。彼が言うことには絶対に素人が売れるとは思わなかったらしい。でも、ちょろちょろと売ってる僕を見て、なんてタフな奴なんだろうって思ったんだとさ。こうして、カナダでの僕の呼び名が「Tough boy」ってことになったわけ。まぁ、Tough guy じゃないところが幼く見える日本人ってところかな。
で、新しい友達ができたといっても、別に一緒にどこに行くというような付き合いをしてたわけじゃなくて、僕らが出会うのは球場の周りであったり、アイスホッケーのスタディアム周辺であったりというダフ屋が生息するところ。そう、深刻な資金難から脱出した僕はアイスホッケーのシーズンは当然のように試合を観に行ったわけ。僕はその時に彼からチケットを安く譲ってもらってたわけさ。チケット余らせちゃったら損だから安くても僕みたいなのに売っちゃうのがいいってことでしょう。僕としてはいつも安く試合が見れて超ラッキー。とっても良い席でも1枚しかないとなかなか売れないから、そういう時は僕がやすーく買ってあげてたわけ。というわけで、友達というよりもお互いに利害の一致した関係だーね。まぁ、まさかダフ屋と仲良くなるとは思わなかったけど・・・。
というわけで、カナダで変な仕事はするわ、変な人と仲良くなるわとなかなかできない経験をさせていただきました。ちょっとやばいけどね。おっと、一応言っときますけど、トムは正確にはダフ屋ではなくチケットブローカーとのこと。彼が言うことには、僕みたいなのがダフ屋であって、彼のようにチケット販売を職業として認められているのはチケットブローカーなんだとさ。まぁ、一般人からみれば両方ダフ屋だけど・・・。